せんだんの杜における「東日本大震災」被災状況(第10報)
2011.04.21 Thursday 12:14
1.震災について、いま考える課題
1)一般避難所について
† 震災直後の一定期間、仙台市内の住宅地では一般避難所の定員を超過して、避難所へ入ることを断られた人々がおりました。
† 自家用車の中で夜を過ごす家族、離れた位置に所在する他の避難所まで徒歩で移動していく家族、福祉避難所で保護した家族などです。
† せんだんの杜でも家族が避難所へ入ることができず、職員共々宿泊した家族、利用者の家族がおられます。
† 今後も長期間にわたって大きな余震があり得ることを考えると、「地域の一般避難所へ入れない」ということがないように準備する必要があります。
2)福祉避難所のあり方について
† 3月分の介護保険サービスの介護報酬や障がい福祉サービス介護給付費、その他の独自サービスに関する費用の請求が終わりました。
介護報酬等の保険請求や公費請求については、厚生労働省より事務連絡や通知、Q&Aなどが事前に発出されていましたが、具体的な取り扱いは保険者である市町村の判断となります。
† 特別養護老人ホームリベラ荘では福祉避難所として、震災直後より地域包括支援センター、居宅介護支援サービスの介護支援専門員だけではなく、通所や訪問、短期入居のサービス従事者が地域を巡回して、自宅や一般避難所にいる高齢者や障がい者の方々へ対応してきました。
その中で必要な方には、水や紙おむつなどの生活物資援助、受診援助、他の介護サービス事業所への連絡、福祉避難所への救護などを職員は精力的に行いました。
† 先般、これらに関する費用請求の方法の連絡がありましたが、概要は次のようなものです。
(これらの扱いにより、3月分は相当額が月遅れ請求となっています)
・ 仙台市が依頼をして福祉避難所を利用した要支援・要介護状態の方で、区分支給限度基準額を超える利用分は仙台市が負担をする。
・ 施設が独自に対応して利用した方で、区分支給限度基準額を超える利用分があるときは、利用者と施設で協議して負担割合等を決める。
という内容です。
† リベラ荘では行政依頼によるご利用は1人のみで、20人ほどの方々は、独自に地域巡回をして対応した方々です。
これは、震災直後から1~2週間は行政機能も被災しており、私たちが自主的に判断し、支援を行う必要があったからです。待っていては一般避難所で食事や排せつ、認知症によるBPSDなどで、本人や家族、周囲の住民双方が生活困難をよりきたしてしまうことでしょう。
† リベラ荘では、独自に対応した方々で、区分支給限度基準額を超える利用がある部分は、請求しないこととしました。また要支援・要介護認定が非該当となる方、対象外の方については、食費等の実費のみの請求としています。
† 福祉避難所としての活動に、結果として制約が生じることのないよう、費用負担の面でも相応の対処が必要であると考えています。
3)様々な情報発信・提供について
† 現在も、行政機関・団体等より事務連絡、通知等、放射線や放射性物質などに関する測定データなど、溢れるほどの情報がホームページ上に掲載されています。
† 震災後の停電から復電するまで何日もかかりましたが、その間、宮城県内の被災状況ですらラジオからの情報だけで、特に津波による被害などは十分に把握することができませんでした。
† このような行政連絡、災害情報の提供方法として、今のままでよいものかと考えさせられております。特に、行政からの連絡は一方的にホームページ上に出ているだけです。この十数年間は、毎日逐次検索・把握するということが、ひとつの仕事になってしまいました。
4)福祉仮設住宅(仮称)について
† 4月19日付で厚生労働省より「応急仮設住宅地域における高齢者等のサポート拠点等の設置について」、4月15日付で「東日本大震災に係る応急仮設住宅について」が関係する県宛に発出されました。
† 特に介護サービスを必要とする方々の住宅確保は急務です。
用地や建築費の確保はもちろん大切なことですが、「建てました」「サービス提供しています」ということだけにならないよう、閉鎖的にならないよう、他の住居や住民とよく交流できること、安心して住むことができる環境とサービス提供が必要です。
† 私たちもこれらの設置やサービス提供、サービス連携、コーディネーションについて、できるだけの対応を行いたいと考えております。
5)これからの支援のあり方について
† 震災で激しく被災した施設の入居者を受け入れているところでは、現在も厳しい生活環境や労働環境の中で、介護サービスが提供されています。
† 当初は、被害が比較的少ない施設が分担し、そのような利用者の方々を受け入れて対応することとしておりましたが、現在までのところ実現してはおりません。
† 被災から1か月以上たちますので、慣れた場所と人から離れない方がベターであるという考え方もあるでしょうが、今の状態が何か月も継続するであろうことを勘案すると、現在対応している職員も含めて他施設へ分散し、よりよい環境で生活できるようにすべきではないか と考えています。
2.その後も引き続き、多くの皆様から無償のご支援をいただき、深く感謝申し上げております。
・北星学園大学大学院/社会福祉学研究科2年生ご一同 様
たくさんの多機能ラジオと乾電池をいただきました。
余震に備えて必要物資を求めていますが、防災用品はなかなか入手できず困っておりました。たいへん助かりました、ありがとうございます。
≪多機能ラジオ≫
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