耳の日 コソコソばなし
2021.06.19 Saturday 14:15
みなさん、6月6日は補聴器の日だったって知ってましたか?
6が2つ向かい合わさると耳の形になるからなんですって👂👂
今回はそんな補聴器にまつわる、せんだんの館の言語聴覚士:中川さんのちょっと嬉しかった話です。
先日、デイサービスの作業療法士を通じて利用者のNさんから「補聴器が聴こえなくなってしまって、修理にいくら位かかるのか知りたい」とご相談を受けました。
補聴器と言っても20万円くらいの物から集音機と言われる1万円程度の物までさまざまです。
私は一応学校の授業で学びましたが、業者ではないので正直なところ修理費は分かりかねます。でも、困っていらっしゃるようなので、実物を見せてもらうことにしました。
デイサービスにお邪魔すると、なんだか元気のない様子のNさんがいらっしゃいました。聞けば、自分の掃除の仕方が悪く、壊してしまったのではないか。せっかく4~5万ほどかけて買った物なのに、家族にもきまり悪くて言い出せない。ダメもとでデイサービスの職員に相談してみたとのこと。
幸い、きちんとしたメーカーの物で、それほど使用期間も長くないので、保証書があればそれほど高額な修理にならないのではないかとお話したところ、Nさんは少しほっとした様子でした。
ついでに、耳穴のチップが汚れていたので、「掃除しますね~」とメンテナンスしながらNさんとお話しさせていただいたところ、お孫さんにお小遣いをあげるために500円玉を補聴器ケースにこっそり溜めている話など、ご家族思いな方なんだなとほっこりしました。
すると突然、今までうんともすんとも言わなかった補聴器から「ピー」とハウリング音が!耳穴部分に耳垢が付着して塞いでしまい音が入らなくなっていたことが、聴こえなくなった原因でした。
Nさんは「え!直ったの!?」と驚いた様子でしたが、次の瞬間、さっきまでの暗い空気が嘘のように、明るい笑顔になりました。
「いや~、昨日は気持ちが落ち込んでため息ばかりだったけど、今日は安堵のため息だ。本当にありがとう」と言っていただき、たいしたことはしていないのですが、私も嬉しくなりました。
「また、困ったことがあったら、いつでも相談して下さいね」帰りがけに声をかけると、Nさんは深刻そうに「実は、いま困っていることがあって・・・」とおっしゃって、「(人差し指と親指でお金のサインを作って)これがないんです」と笑顔でユーモラスに訴えられました。「私もないので、それ以外のご相談でお願いします」と返事をすると、顔を見合わせて大笑いしました。
聞こえが悪くなると、ご自身もご家族も大変なストレスを感じます。そのため、安い集音機をプレゼントされるご家族も多いのですが、聞こえの状態に合わせた物でなければ雑音も増幅してしまい、頭痛や耳鳴りを起こして結局使わなくなってしまうこともしばしばです。聞こえが悪いと感じたら、まずは耳鼻科を受診し、きちんとした補聴器を作ってもらうことが結果として無駄がないと思います。
みなさんも耳を大事にして、いきいきとした生活を送ってくださいね。